自民も政治資金法改正案、今国会提出へ 民主・公明と調整難航も  自民党は29日、閣僚や与野党幹部の資金管理団体が高額の事務所費を計上していた問題を受け、今国会での政治資金規正法改正を目指す方針を固めた。安倍首相が同日、中川幹事長を首相官邸に呼び、「法改正を視野に党で検討を進めてほしい」と指示した。法改正を求めている民主、公明両党などと足並みを合わせたものだが、改正案の取りまとめは難航が予想される。  首相は29日夜、「国民の信頼を得るため、説明責任の観点から、正すべきは正していかねばならないと(中川幹事長に)指示している」と記者団に語った。  現行法は、政治資金収支報告書に事務所費の総額のみ報告することを義務づけている。個別の支出などの内訳を明記することや領収書の添付を義務づけていないため、松岡農相や伊吹文部科学相らの事務所費問題を契機に、「不正の温床になりかねない」などの批判が高まっていた。  首相はこれまで政治資金規正法の改正に直接言及することはなかった。  だが、民主、公明両党が、事務所費の一定額以上の支出について、領収書の添付を義務づける方向で法改正を目指す考えを表明。自民党が法改正に反対すれば、「政治改革に後ろ向きという印象を国民に与え、参院選に悪影響を及ぼす」(首相周辺)との懸念から、改正案提出に取り組まざるを得ないと判断した。  ただ、これから始まる改正案づくりの取りまとめは曲折が予想される。  事務所費の支出について、公明党は5万円以上、民主党は「1円以上」(鳩山幹事長)から領収書添付を義務づける方向で検討している。だが、自民党内では「会合の日時や相手が公表されては、政治活動の自由が侵害される」(幹部)として、一定額以上の支出内訳を明記することや領収書添付の義務づけには反対が根強い。このため、法改正で、通信費や家賃など、事務所費の項目別の額について、報告義務を課すにとどめるべきだとの意見も多い。  政治とカネの問題に取り組む姿勢をアピールしたい民主党は、すべての事務所費支出に領収書添付を義務づける政治資金規正法改正案を2月中にまとめる方針だ。  だが、党内では「少額の支出まで領収書添付を義務づければ事務作業が煩雑になりすぎる」との慎重論も出ている。   ◇政治資金規正法改正の論点=表略