サウジ調停 ファタハとハマス歓迎  【エルサレム=三井美奈】サウジアラビアのアブドラ国王が28日、パレスチナ自治政府のアッバス議長率いるファタハと内閣を主導するイスラム原理主義組織ハマスの両派に同国での和解に向けた協議開催を呼びかけたのに対し、両派は同日、それぞれ歓迎の意向を示した。ハマスとの接触に消極的だったサウジが直接介入に乗り出したのは、アラブ穏健派諸国の強い危機感を示している。  サウジ国営通信によると、国王はイスラム教の最高聖地メッカを協議会場に選んだ。パレスチナ問題の宗教・歴史的意義を印象付ける狙いもあると見られる。アブドラ国王は皇太子時代の2002年、イスラエルに占領地撤退と引き換えにアラブ諸国との国交樹立を約束する和平案を提案しており、「イスラエルせん滅」を掲げるハマスとは距離を置いてきた。  ハマスがイランに接近、多額の資金援助を受けたことで、サウジも強い危機感を抱いたと見られる。両派の紛争ではエジプトやヨルダンなどが仲介を行ってきたが、事態収拾の見通しが立たないことで、親米アラブ穏健派の“重鎮”サウジまで動き出した形だ。