公明、自民とミゾ 代表質問で太田氏、「身近な問題重視」を注文  公明党と安倍政権の間に、微妙な「溝」が生じている。太田代表の30日の代表質問でも、安倍首相に対する注文やけん制が相次いだ。読売新聞の世論調査では、公明党支持層の政権に対する不支持率もじわじわと上昇し、自公体制の足元がかすかに揺らぎ始めている。  「政権は『民を本(もと)』としなければならない」  太田氏は質問でこう指摘し、福祉、労働などの問題に積極的に取り組むよう、2度にわたって注文をつけた。憲法改正などに重きを置く安倍首相をいさめ、身近な問題と向き合うよう求めたわけだ。  その憲法改正では、国民投票法案の今国会成立を目指す考えを示し、首相と歩調を合わせる一方、「成立後から施行までの(3年)間は、憲法に関する調査に専念し、落ち着いた論議を行うべきだ」と、早期の改正に意欲を示す首相をけん制した。  また、政治とカネの問題でも、「事務所費は、5万円以上の支出に領収書の添付を義務づけるべきだ」と政治資金規正法の早期改正を訴えた。  首相は憲法改正問題では、「新しい憲法を自らの手で書き上げていくべきだ。与野党で着実に議論が深められるべきだ」と持論を繰り返した。一方、政治資金規正法の扱いでは、「法改正を含め、議論が行われている」とだけ答えた。  太田氏がこうした発言を連発したのは、安倍首相の政権運営が国民のニーズを踏まえていないと懸念しているからだ。支持母体の創価学会にも、「切実な問題は雇用や教育など生活に身近な政策で、憲法改正が優先課題とは思わない」という声が出ている。  こうした空気を反映しているのが、世論調査だ。公明党支持層の内閣不支持率は、安倍政権発足直後の1割強(昨年10月)から、今年1月調査では2割強と倍増した。支持率は7割程度の高水準を保っているが、「緩やかな支持層」から次第に「安倍離れ」が進んでいることがうかがえる。  「政治とカネ」の不祥事などが続けば、公明党の政権への不信感は一層強まりそうだ。  図=安倍内閣の支持・不支持率