千代田区議の政調費 「適正」14人、「少ない」11人 審査会アンケ=東京  ◆月15万円政調費 会議費支出、会派で大差  千代田区議に交付されている毎月15万円の政務調査費について、同区議会の交付額等審査会が昨年、全区議25人に交付額が適正かどうかをアンケートしたところ、14人が「適正」、11人が「少ない」と答え、「多い」は1人もいなかった。荒川区では4月から半減することが決まっているが、千代田区のある無所属区議は「現在の金額でも十分な調査活動はできない」と語る。一方、政調費の中でも、飲食費を含む会議費の支出には会派によって大きな差があることも判明。使い道については議論の余地が大いにありそうだ。      ◇  アンケートは、弁護士や税理士らで作る交付額等審査会が昨年7月、交付額の見直しに向け、区議の実態把握のために実施した。  それによると、毎月15万円では「少ない」とした11人のうち、適切な増額幅は、5万円、10万円が各5人。政調費を減額しても十分な議員活動が「できる」としたのは4人で、16人は「できない」と回答した。  23区の政調費は現在、月額12万5000円~24万円と幅があり、15万円の千代田区より少ないのは計3区。ただし、荒川区は16万円から8万円に減額される。  そんな状況の中、千代田区のある男性区議(無所属)は「5万円増えると随分と活動の幅が広がるのだが……」としみじみ語る。  この区議の場合、15万円のうち、5万円は所属会派に納めるため、個人で使えるのは月10万円。夏と冬に出す「区政報告」の印刷費、封筒代、郵送費(年間計約60万円)に備えて毎月約5万円をため、アルバイトの人件費と会議費に各約2万円、文房具などの消耗品と書籍代の各約5000円を充てるとすべて消える。  「本来は、区政のチェックや提案のため、研究機関などに調査研究を依頼したり、シンポジウムを開いたりしたいが、それもままならない」と区議は言う。  一方、アンケートに「適正」と回答した共産党区議は「区政報告などの印刷費や消耗品費がほとんどを占め、金額は足りたり足りなかったりするのが現状」と明かした上で、「問題なのは不適切な飲み食いの費用ではないか」と指摘する。  確かに、飲食費を含む会議費(昨年度)については、会派によって金額に大きな差がある。千代田区議会が公開している資料から、会議費が支出全体に占める割合を見ると、自民党議員団が41・6%、公明党議員団が34・4%なのに対し、無所属4人でつくる「ちよだの声」は4・4%、区民ネットワーク3・4%、共産党区議団0・1%などとなっている。  毎月3~5万円を会議費に充てるという自民党区議の一人は「新年会や町会の総会などに出席することで、区民から相談を受けたり、アイデア、情報を得たりもできる」とした上で、「使途基準で禁じられた『飲食が主目的』のものは一切ない」と話す。  公明党議員団も「千代田区はホテルで新年会などが行われることが多く、会費が高くて支出がかさむ。様々な会議に出席すれば、政策の提案や相談事、区民の本音が聞ける貴重な機会になる」と説明する。  ただ、先のアンケートでは、使途基準(複数回答)については、区議の間に「もっと明確にすべき」(10人)、「もっと限定すべき」(1人)との意見もあった。区議の1人は「使い道に疑問の余地がないよう、さらに細目を詰めるべき」とし、「現地視察をしなくてもインターネットの資料収集で足りるとか、書籍も一時的な利用なら図書館で借りれば十分だとか、支出を精査していく必要があるのでは」と提案している。