文京区長選 煙山区長が不出馬表明 与党3会派、戸惑いの声=東京  体調不良を理由に4月の統一地方選で行われる文京区長選への出馬断念を関係者に打診していた煙山力区長(68)は30日、立候補を取りやめ、2期目の今期限りで退任する考えを正式表明した。区長選まで3か月を切った中での突然の出馬辞退に、民主系と自民、公明の与党会派からは戸惑いの声が上がっている。  煙山区長はこの日朝、区議会の議会運営委員会の冒頭であいさつ。「両上肢の激痛など持病の悪化で体調不良が続いており、主治医から入院治療を要すると判断された」とし、「残念な思いもあるが健康に自信が持てず、今任期で退任することを決断した」と語った。昼過ぎに行った新年度予算案の発表記者会見の場でも同様の説明をし、後任について問われると、「そういうことを考える余裕はない」と述べ、病院へ行くことを理由に、区幹部を残して途中で退席した。  文京区議を6期務めた煙山区長は、区職員出身の区長が歴代続いた中、1999年に初当選。出張所の全廃、学校給食の民営化など「強気な性格」(ベテランの自民区議)で行政改革を断行した。近年は、学校の統廃合や公園計画を巡って住民グループから反発を受けるケースも相次いでいたが、昨年9月の区議会で3選出馬を表明していた。  突然の候補者不在は民主系や自民、公明の与党各会派に大きな影を落としている。公明の区議は「区長候補は人物本位で慌てずに決めたい」と話したが、民主系のある区議は「候補者は白紙の状態。従来通り3会派で組んだ方がいいと思うが、参院選を控え、党本部がどのような意見を持つか……」と戸惑い気味に語った。自民の区議も「(与党3会派が)別々に候補を立てる対立関係に転じたら、共倒れになる危険がある」と懸念を隠さない。  一方、現区政に批判的な区民らでつくる「区民が主人公の文京区を創(つく)る会」は、対立候補者の選定を進めている。野党会派のある区議は「自治基本条例策定などで、区民の区政参加を進めようとした姿勢は評価できる面もあるが、施策の進め方に問題があった」と語った。