◆19歳・高雄、善戦 ランク25位相手  テニス・東レ・パン・パシフィック・オープン第1日(30日・東京体育館)――女子シングルス1回戦で、主催者推薦の19歳、高雄恵利加(北日本物産)は、世界ランク25位のフランチェスカ・スキアボーネ(イタリア)を相手に互角の打ち合いをしたが、惜しくも敗れた。第8シードのダニエラ・ハンチュコバ(スロバキア)は、予選勝ち上がりのロベルタ・ビンチ(イタリア)にストレートで敗退。ダブルス1回戦では、第3シードの杉山愛(ワコール)、ハンチュコバ組が、エレナ・ヤンコビッチ(セルビア)、ベサニー・マテック(米)組にストレート負けする波乱があった。  ◆シャラポワV意欲  〇…第1シードのマリア・シャラポワ(ロシア)は、この日試合がなかったものの記者会見を行い、抱負を語った。「全豪の決勝はベストの状態ではなかったが、時にはそういうこともある。早く気温差に慣れ、自分が一番強いところをファンに見せたい」と、2年ぶりのタイトル奪還に意欲。  ◆練習不足、悩む杉山  〇…杉山は、ハンチュコバと組んで得意のダブルスに出場したものの、第1セットをタイブレークの末に落としたことが尾を引いて競り負けた。2人のペアで全豪も戦ったが、「もう少しダブルスを極めるには、2人での練習時間が必要。しかし彼女はシングルスに重点を置いているから、その調整は難しい。このままではいけないと思っている」と、頭を悩ましていた。  ◆1メートル50、球威負けず  昨年の全日本選手権で優勝し、主要国際大会に初めて挑んだ高雄だが、要所で経験不足が表れ惜敗した。  今大会出場選手中、最も背が低い1メートル50ながら、低い弾道の球威は格上のスキアボーネに負けていなかった。「早めにネットを取り、少しでも浮いた球はドライブボレーで決める」という作戦通りにプレーができ、5―2とリードした。  だが、ここで余念が出た。勝者が次に第1シードと対戦する組み合わせだったため、「これでシャラポワと対戦できる!」と勝ち急いだ。攻撃の組み立て意図を欠いたショットが増えて反撃を許し、不用意なダブルフォルトも犯して一挙に5ゲームを失った。流れは変わり、つかみかけた白星を手放してしまった。  長塚京子コーチは「もう少し冷静な判断ができれば、十分に勝機もあった。この経験は、次につながる」。現在世界136位で、トップ100入りも目前。この敗戦を“肥やし”に変え、さらなる成長を期待したい。(吉見光次)  ▽シングルス1回戦 ビンチ(イタリア) (6―4 6―4) ハンチュコバ(スロバキア) スキアボーネ(イタリア) (7―5 7―5) 高雄(北日本物産)  ▽ダブルス1回戦 キング(米)スタブス(豪)          (6―1 6―2)             森上(ミキハウス) 中村(ニッケ) ヤンコビッチ(セルビア) マテック(米)          (7―6 6―3)             杉山(ワコール) ハンチュコバ  写真=スキアボーネにストレートで敗れた高雄