プロ野球12球団はあす2月1日、一斉にキャンプインする。今季はパ・リーグに加え、セ・リーグでもポストシーズンゲーム「クライマックスシリーズ」が実施され、ペナントレースの戦い方にも影響を及ぼしそうだ。優勝を目指すため、各球団がキャンプで強化を図る課題点を、象徴的な数字を挙げてさぐってみる。  ■巨人   ◆118 1、2番得点増やせ   昨年の1、2番の合計得点は118。リーグ5位の横浜(159得点)に大きく水を開けられ、リーグ最少だった。チーム全体では552得点で、リーグ5位。1、2番の不振が、打線全体に響いたことを示す数字だ。  今季のポイントは、その1、2番を固定できるか。昨年は1、2番の組み合わせは42通りに及んだが、シーズン終盤は「脇谷、鈴木尚」の俊足コンビがまずまずの結果を残した。機動力を生かした野球を目指すうえでは、今季もこの2人に対する期待は高くなる。  一方で、二塁の脇谷に新外国人ゴンザレス、中堅の鈴木尚には移籍の谷と、それぞれ強力なライバルが入団。脇谷も鈴木尚も、1、2番の座を確保するためには、チーム内競争を勝ち抜くことが先決となる。  FA移籍の小笠原と、李承ヨプ(イスンヨプ)の3、4番コンビで、主軸の破壊力アップが見込まれる。1、2番の出塁率向上が、5年ぶりV奪回の絶対条件となる。  ■中日  ◆1 53年ぶりの頂点へ    落合監督が掲げる「日本一」の「1」。就任から3季で2度リーグ優勝を果たしたが、半世紀以上遠ざかっている目標にはたどり着いていない。「勝つチームが強いチーム」と自信を持ちながら、53年ぶりの頂点へ、勝利への貪欲(どんよく)さを培うキャンプになる。  ■阪神  ◆8 若手左腕先発争い   昨季、8完投、209投球回のエース井川(ヤンキース)が抜け、先発陣の柱をどうするか。ローテーション入りが確定的な福原、安藤、下柳以外は横一線。岡田監督が「最低8人は必要」という先発要員に、江草、能見、中村泰、筒井和ら若手左腕が挑む。  ■ヤクルト  ◆140 主軸2人の「穴」   昨季はリーグ最多の161本塁打で、中日と並ぶ669得点という攻撃力が、今季は懸案。岩村(デビルレイズ)とラロッカ(オリックス)の主軸2人がたたき出した打点140、本塁打50本をどう穴埋めするか。三塁手の後継者育成と合わせ、試行錯誤が続きそう。  ■広島  ◆549 得点増へ機動力    昨季のチーム得点はリーグ最少の549。中日、ヤクルトと比べ、120も少ない。盗塁成功率がリーグワーストの5割5分1厘で、95犠打もリーグ5位。Aクラス入りを果たし、クライマックスシリーズに進出するには、機動力復活での得点増が欠かせない。  ■横浜  ◆4.69 2000球投げ込み宣言    昨季のチーム防御率は4・25。中でも、先発投手の防御率は4・69で、ともにリーグ最低。先発投手の強化が最大課題で、大矢監督はキャンプ中に一人2000球の投げ込みを宣言。チーム最多の10勝を挙げた門倉(巨人)の穴は、移籍の工藤、寺原を中心に埋める。       ◇  ■日本ハム  ◆100 ポスト小笠原は    巨人に移籍した小笠原が昨季挙げた打点は100。リーグ二冠王の穴を埋める存在を探すのが急務だ。新外国人グリーン(ダイヤモンドバックス)、昨年振るわなかった木元らの奮起が望まれる。リーグ5位の69盗塁を増やし、得点圏に走者を多く送る工夫も必要。  ■西武  ◆17 「松坂抜き」の不安    レッドソックス入りした松坂が昨年残した勝ち星は、チーム最多の17勝(5敗)。これをどう埋めるかが最大のテーマ。軸になる投手が欠け、勝利数以上にダメージは大きい。昨年12勝を挙げたエース候補、涌井の成長だけでなく、投手陣全体の底上げが急務になる。  ■ソフトバンク  ◆82 小久保、多村期待    4年ぶりV奪回へ、最大の課題は長打力。2001年にチーム史上最多の203本塁打を放った打線の昨季の本塁打はリーグ5位の82本。小久保、多村と実績ある長距離打者が加入。松中へのマークを分散する意味でも、2人の活躍は欠かせない。  ■ロッテ  ◆.252 長打力アップを    日本一からBクラスに転落した最大の原因は貧打。チーム打率2割5分2厘はリーグワーストで、クリーンアップ(先発のみ)の本塁打数も最少の43本と迫力不足。昨季、29本塁打の新戦力ズレータに3割、30本塁打を期待しつつ、他の主力も長打力アップを目指す。  ■オリックス  ◆51 脱・各駅停車走塁    7年連続Bクラスに終わった昨季の盗塁数はリーグ最低の51。コリンズ監督は「各駅停車の走塁が多い」と、機動力アップを課題に挙げる。盗塁を含めて「常に一つ先の塁を目指せば、勝ち星は増える」。足を絡めて点を取りに行く野球が鍵を握る。  ■楽天  ◆4.30 田中将起爆剤に    参入2年目の昨季のチーム防御率は4・30。1年目の5・67より大幅に改善されたが、それでもリーグワースト。規定投球回到達者でチームトップが一場の4・37では寂しい。伸び悩む投手陣に、新人、田中将大(北海道・駒大苫小牧高)が刺激を与えられるか。  写真=長打力に期待のかかるソフトバンクの多村=貞末ヒトミ撮影  写真=合同自主トレで打撃練習を行う小笠原(右)と鈴木尚(左上)=吉岡毅撮影