◇世界ノルディック2007  ◆スキー人気盛り返して ショー的に進化/クロスカントリー 間近で迫力実感を/ジャンプ 絶対有利の日本選手/複合   2007ノルディックスキー世界選手権札幌大会の代表選手が、31日、全日本スキー連盟から発表される。かつて、高くて、どこまでも飛んでいくジャンプで一世を風靡(ふうび)した原田雅彦さん(38)。日本人でただ一人、世界選手権のラージ、ノーマルヒル両方を制した“ミスタージャンプ”が、同大会広報大使として、世界選手権の魅力、観戦ポイントなどを語ってくれた。(聞き手・清水暢和)  ――アジアで初めての開催。札幌で行う意義は。  「札幌のような大都市で開催するのは、初めてなんです。村みたいなところでも行ってきました。1997年に行われたトロンハイム(ノルウェー)は、小さな港町。選手村が岸壁に横付けされたフェリーで、フェリーのレストランで食事をしたのをよく覚えています。スキーの組織、連盟としては、五輪と世界選手権がセットなんです。五輪を開催すると、大体設備が整いますからね。1972年の札幌冬季五輪から間が空いてしまいましたが、今回の開催で、もう一度、スキー競技を盛り上げたいと思います。今は、北海道でも野球とかサッカーが盛り上がっていますからね。野球に負けずに盛り返したい。みなさんが見に来て、スキー競技の魅力を感じてほしいですね」  ――競技の注目点は。  「クロスカントリーはここ数年、競技の内容が変わりました。ショー的にするために、短いスプリント競技を入れた。どんどんクロスカントリーが進化している。もともと『スキーのマラソン』という感じでしたが、その印象を払しょくするような変化です」  ――大会史上初めて、屋内の札幌ドームをスタート地点にして競技を行います。  「信じられません。いよいよこんな時代かと思いますね。ドームにいればスタートとゴールが見えます。子供の運動会みたいですよ。転んだり、抜いたり、抜かれたり。一瞬たりとも目を離せない。これまでのイメージと全く違う。まして札幌ドームでイスに座ってクロスカントリーを観戦できるというのは、15年前には想像もつきませんでした。盛り上がります」  ――ジャンプで見てほしいところは。  「大倉山でラージヒルのジャンプをより近づいて見ると、迫力あるスポーツだなと分かると思います。とりわけ、みなさんの応援が力になる競技です。トップレベルの選手はたばこの煙がゆらゆらと揺れるくらいの風を利用して、10メートルくらい飛距離を伸ばすんです。日本人選手が飛ぶ時に、ファンの方が下の方で手を使って、あおいで風を送ってくださると、絶対に変わります。よろしくお願いします(笑)」  ――複合について。  「前記の二つが合わさった魅力があります。地元開催は日本人に絶対的に有利。気まぐれな大倉山の風を把握しているのは大きい。クロカンでは、コースについて『何時ごろあそこに日が当たる』ということを踏まえてワックスを使ったりできれば、相当タイムを縮めることができる」  ――海外のトップ選手の技を見ることも楽しみ。  「それぞれの世界トップ選手が来ます。サッカーで言えば、ロナウジーニョ(ブラジル代表)、ジダン(元フランス代表)が来るようなものですよ。種目別のすごい選手を見て、また感動があると思います」  ――若い世代に何を感じてほしいか。  「我々も子供のころ、ジャンプを見て、スキー靴をはいて、近くの斜面でジャンプのマネをしたというのがきっかけなんですよ。実際に見に来て『かっこいいな、ジャンプって』『かっこいいな、スキーって』と子供たちに思ってもらいたい。空を飛びたいな、とか昔からの夢だと言いますよね。ジャンプ競技で飛べますから。その夢はかなえられます。地域の大人も子供も大会を見て『よし、じゃあやろうか』と言ってくれる。大会だけで終わるのでなく、その後にも続くような意義ある大会にするために、私も協力してやっていきたい」  写真=ノルディック世界選手権を語る原田雅彦さん(札幌市内で)