◇かのう・ゆり  ◆大阪国際女子マラソン 28歳の新人、満を持し   「新人の加納です」。26日に行われた有力選手の記者会見で、少しはにかみながら、冗談交じりに自己紹介した。前々回、前回も大阪出場を目指しながら故障で見送り、28歳でのマラソン初挑戦。「最初は地元の関西で、と決めていた」という喜びが、1メートル52の小さな体にみなぎっていた。  立命大時代からスピードランナーとして知られた。大学3年の時、ユニバーシアード一万メートルで銀メダル。日本インカレ一万メートル連覇の実績も持つ。入社後も着実に力をつけ、2003年の宮崎女子ロード(ハーフマラソン)で1時間10分28秒のベストタイムを刻んだ。  今大会を見据えたこの1年は「充実していた」。日本選手権では五千、一万メートルの両種目で入賞。昨年12月の全日本実業団対抗女子駅伝では最長の5区(11・6キロ)を任され、2位でタスキを受けると、トップの三井住友海上に食らいつき、逆転優勝につなげた。  昨年、チームメートたちがみせた目覚ましい活躍も、追い風になっている。弘山晴美が3月に名古屋を制すと、吉田香織が北海道で優勝。東京では尾崎朱美が2位となり、嶋原清子がアジア大会で銀メダルを獲得した。「仲間のおかげで『自分も頑張れる』と自信が持てた」  最大の魅力は、川越学監督が「苦しい場面で頑張れるようになった」と目を細める粘り強さ。「競技生活の最終目標」というマラソンに、満を持して挑む。(佐藤謙治)  写真=記者会見で質問に答える加納由理(大阪市内のホテルで)